元書店員のひとりごと
諸事情があって私が以前勤めていた本屋さんをgoogleで調べた。
するとレビューのようなものにお客様として来店された方々からの文句に似たコメントがたくさんあった。
本音を言えば個々にそれはこういう事情があってですね、と言いたかったが、そうするわけにもいかない。
なにせ少しもやもやしてしまったので、ここでひとりごととして吐き出したいと思う。
もし、見てくれた方が書店に足を運んだ際に、ほんの少しだけこういう事情もあるのだなと汲んでくれたらとも思う。
※ここからはあくまでも私が勤めていた書店での話や、事情になるので参考程度にお願いします。
尚、どこの書店かなどという特定行為などはおやめください。
私が勤めていた書店はTHE 地元の本屋さん、という感じだった。
本はもちろん、CDや文房具、近隣の学校の用品なんかも取り扱っていた。
近隣では珍しく、夜遅くまで営業するお店だったこともあり、お客さんもよく来てくれていた印象だった。
また、取り扱う商品は定番のものから、流行っているかも、みたいなものまであったので、幅広い年齢層の来店があった。
よく言われることや聞かれることからここではひとりごとを書いていきたい。
書店員の仕事について
そもそも書店員ってなにしてんの、というところから。
基本はレジと商品整理やってます。
書店によってやることはそれぞれ違いますが、ここが基本なので。
あとは問い合わせ対応だったり本当にいろいろ。
商品知識があればもちろん有利というか、てきぱき対応できるが、
全員が全員同じ知識レベルではないのでそこは申し訳なさを感じつつどうか寛大な心で、という気持ち。
ブックカバーについて
カバーをかけるかどうか、店員さんが聞いてくることは割と通例であるが、中には書店に来る度に聞かれていてうんざりだという人もいる。
ぶっちゃけ言えば、まあ、マニュアルだから仕方ないよね。
あなたがどこでどんな頻度で買うか知らないもの。
という感じである。
常連さんであれば最初は伺うことはあれど、顔を覚えてしまえば
あ、この人カバーいらないって言うもんな、とわかってくる。もしいるのであれば向こうから声かけてくれることもあるので。
逆に言えば聞かれたくなければ最初から言ってくれとも思う。
カバーいらないです、と言ってくれればそのまま普通にお会計しますので。
また、いる人の中にも自分でカバーをかけたいという人も一定数いる。
珍しいことではないので、その時は「カバーはいるが、自分でかけたいので袋の中にいれてください」と言ってくれれば時間もかけずに済む。
稀にコミックを大人買いする人に出会うが、その全てにカバーをお願いしますと言われた時はちょっと焦ります。何人か応援を呼んで対応しますが、ちょっと時間ください!と思うので、焦らせたりしないでくださいね。
ブックカバーに付随して言いたいことが一つ。
書店ではよくコミックなどにビニールがかかっていたりすることがある。
あのビニールを剥がさず売ってくれ、ということも何度もあったが、結論から言ってそれはできない。
書店によっては、なのかもしれないがあの中に防犯タグのようなものが入っていて、それを取らなければシステムが作動してしまう。
じゃあ、そのタグ、レジに通した時点で無効にすれば?ということも言われたが、そのタグにいくらかかってると思ってんだ。というのが本音。その分をお客様が出してくれるならいいですよーって思ってしまうが、そういったことは言えないので理解してもらう他にない。
最近、というか数年前から講談社という出版社ではあらかじめコミックにビニールがかかっている状態で書店に届くようになった。
中にはこんなビニールかかってちゃ立ち読みができないだろ!とか、何巻まで買ったか思い出せないから中を見せてくれ、という人もいたが、それは全てお断りです。
全出版社があらかじめビニールをかける、ということはなかなか難しいことでもあるので、もし商品不良の際は一言声かけてください。
欲しい商品が無い時
書店に行っても自分が欲しかった漫画が無かった。あそこは品揃えが悪い。などという声もよく聞いた。
とてもよくわかるし、とてもすみません、とも思う。
ものすごく売れている漫画なら確かにどこでもあるかもしれないが、
ものによってはやはり置いてある書店とそうでない書店とあるのは事実だ。
大きな書店ならば豊富に取り扱っているかもしれないが、街の本屋さん、といった規模の店には無いか…と諦めて帰ってしまう人ももちろん多くいた。
そういう時はぜひ書店員に声をかけて注文をしてほしい。
なんでかっていうと本屋さんで買ってほしいから。
そう言うと自分たちの給料のためかとも言われることがある。本音を言えばそれもある。
でもそれ以上に出版業界って今、儲からないから、というのが一番。
電子書籍の普及がすごいし、なにより出版社側でそんなに本を作っていないというのもある。
実際、利用する立場側からすれば本屋さんに注文しても受け取るまでに結構な時間がかかる。
ものによっては出版社から取り寄せとか、出版社側に在庫が無いなんてこともよくある。
だからam●zonとかで注文したい気持ちもよくわかる。
(なんなら勤めてた間にちょっとそこでは注文したとバレたくないものに関してはam●zonに頼ってた)
定価よりちょっと安い時とかあるんですもんね、そりゃ利用しますよね。
でも!!なるべくでいいから!!!
本屋さんで!!注文して買ってください!!!!!
ここからは本屋側の意見ですが、
やっぱり、本屋さんって在庫を多く持ちたくないのが本音。
店の規模だって限られてるし、売れないものをいつまでも置いてはおけない。
本屋さんだって売れるもの置いて、売りたいって思ってる。
そうじゃないと儲からないから。
でも出版業界が不況であることも含め、本屋さん側で何が売れるかあんまりわからないのもある。
先見の明がある経営者さんやお店の店長さんなどもいるのは事実ではあるが、どこにでもいるわけじゃない。
何が言いたいかって言うと、
みんなが買っていくもの = 売れているもの
だから無い時とかは注文して、そうか、これが売れている(需要がある)のかと本屋さんに教えてください。
本屋さん側もそれがわかれば今後はこの漫画の続きを入荷しようかなとか、いろいろ検討できるし、なんならします。
というわけでぜひ、本屋さんにこの本置いてくれという小さなアピールを含めて注文してください。お願いします。
なんなら次巻から定期的に買うとか言ってもらえるとすぐストックできるので。
定期購読について
まず結論から一言。
定期購読してください!
定期購読ってたまに注文があるけど、結構雑誌とかが多い。
雑誌には定期購読の案内とか買いてあったりするからなのもある。
定期購読の利点は絶対に入荷をするという確証がある、というところ。
以前あった話だが、ある雑誌を毎月買っていた人がいた。
ある時その雑誌の入荷が無くなってしまった時があり、買っていたその人の悲しそうな顔が忘れられなかったということがあった。
これは入荷数に対し、購入数が割りに合わず入荷を止めてしまったことや、
たまに別の店でその雑誌を買っていたそうで、そういう時が結構続くと売れていないという判断になってしまい、入荷が無くなったということが原因だった。
それを防ぐという観点でも定期購読をしてもらえるととても助かる。
もしかしたら店舗によってかもしれないが、漫画や文庫もできないことはない。
例えば〇〇って作家の△△シリーズの最新刊が入荷したら連絡してほしいな、とか。
それだけでそのシリーズの入荷を積極的にするのはもちろんのこと、絶対に在庫を取り置きして連絡するので、もしそういう人は活用してほしい。(詳しくは近くの書店などに確認してやってもらってください)
もう一度言いたいこと言っておきます。
定期購読してね!!!
書店員が嫌なこと
稀にTwitterなどのSNSで、本屋に行って〇〇したら書店員から注意されたんだけど!まじありえない!むかつく!みたいなものも見たことがあり、書店員側の立場からすると当たり前なんだよな、と思うことも。
なのでここでは個人的に嫌だと感じることを書いていく。
以前見かけたのは
棚に欲しいコミックの巻が無かった。以前、書店員に声をかけたら棚の下を開けて探していたから、今回もそうだと思って開けたが、注意された。なんで。という話。
商品在庫は確かにそういった所に入れることがほとんどだ。
良かれと思って、みたいなことかもしれない。気持ちはわからなくはない。
でも、勝手に開けないで欲しい。お店の人が管理するためにもお客さん側で勝手にそういう行為をされるのは注意の対象となる。
お店の商品在庫って勝手にお客さん側がやっちゃうのはどうなの、とも思うし、人の家のもの勝手に漁る行為に等しいと思う。
とりあえず、在庫の有無も書店員がちゃんと確認するんで、そういった行為はやめてください。
それから、雑誌や、書籍の立ち読みについて。
立ち読み自体は基本的にOKです。でも読んだからには買ってほしい、というのが本音。
もともとは全てを売り切るつもりで書店に入荷をしている。でも何人もの人に立ち読みされ、くたっとした雑誌とかを好んで買いたいという人はほとんどいない。
最後の一冊がそういったものになり、これの新しいものはないのか、と言われたこともある。簡単に交換できればいいのだが、出版社との事情など諸々含めなかなかそうはいかない。
だから、どんな内容があるか、を一通り確認したら買うようにできればしてほしい。
もちろんその内容が思っていたものと違うから買わなかったというようなこともあって構わないが、どうか綺麗なものが欲しい人の手元に渡るよう、そういったこともしてくれればという願いだ。
ただ、これだけは許していないのが、
内容を写真に撮ってSNSにあげるなどの行為。
私が勤めていたところではというのもあるが、基本写真を取ることは禁止している。
特に多いのは雑誌の中身を写真に撮る人。
撮影のみなら法には触れないが、それをSNSにあげたり、他人が閲覧できる状態にすれば著作権的にアウト。だからといって私的利用ならばいいだろと買わずに撮るのもやめてほしい。
わりとアイドルとかが好きな若い女の子がそういったことを知らずにやってしまう印象だ。若いから教わっていないのも無理はないし、これだけ写真やSNSが当たり前な社会ではわかるが、知らずに法に触れてしまわないよう気をつけて欲しいとも思う。
最後に
何が言いたいかって総括してしまえば、
書店で買って欲しい!!!
ということと、
わからないことや商品に関することなどは書店員に聞いて!!!
ということだ。
正直この先も私が勤めていたところも含め、本屋さんが儲かることも、なんなら存続するかどうかもわからない。なにせ出版業界も含めて不況だから。
でも本や雑誌が欲しいという人も結構いるのは事実だし、まだまだ買ってくれている人もいる。
もしかしたらこれを読んでくれた誰かの中にも思い出の一冊があるかもしれない。
思い出の雑誌があるかもしれない。
そういった本が一生手に入らないなんてならないように、
そういった雑誌が休刊にならないように、
どうか、どうか、
書店で買ってください。
それだけをとにかく言いたかった。
そんなひとりごとでした。